鏡を見るのが憂鬱なのは禿げのせい

鏡を見るのが禿げのせいで憂鬱になっている私の日常についての体験談です。
学生時代は剛毛で自分の髪の毛の質や量に対して激しい嫌悪感を抱きながら思春期を過ごした私も、30歳を間近に控えて、髪の質感に変化が見え始めてきた。
最初は髪の毛が少し柔らかくなり、ナチュラルウェーブの様にしなやかな髪質になったので、セットなどもしやすく最初は喜んでいた。

その頃は髪にワックスなどを付けては、とがった髪型にセットする毎日だった。
思えばそのタイミングでM字はげの前兆ははじまっていたのだろうと思う。
見る見るうちに額は後退を始め、あっという間にM字はげが出来上がってしまった。
気になり始めてから、毎日鏡でチェックしてきたので、断言できるが、はげの進行は非常に早い。
髪の毛の間隔がまばらになったが最後、その部分は荒野と化す。
そして、荒野となった部分には今後毛が生えてくることはない。
つるつるとしたテカリだけを残していくのだ。
テカっているということは毛根が死滅しているということだ。
諦めるほかない。
学生時代はあれほど疎ましかった剛毛を、この年になりもう一度あの頃に戻りたいなどと夢想する日が、よもや来ようとは思いもしなかった。
願わくばあの頃の髪質に戻りたい。
鋼の様に強くピンと立つ髪質というのは、髪自体の強さの証明なのだ。
それは若々しさであり、生命力があふれていることの体現である。
その髪が、腰を折り、しなしなとしていくのは、私の髪質の場合、髪が弱り果てており、頭皮の状態が悪化していたことの黄色信号だったのだ。
今私が思い出すのは、ワックスをつけたくり、後先を考えず日々を笑って過ごしていた少し前の憎らしい自分の姿である。